■おとぎのかけら-----千早茜

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短編集の方が紹介しやすいのは、仕方が無いと思う…。
そんな訳で、短編集です。

童話を下敷きにした現代もので、全7篇です。

・ヘンゼルとグレーテル
・みにくいアヒルの子
・白雪姫
・シンデレラ
・マッチ売りの少女
・ハーメルンの笛吹き男
・いばら姫

と、まあ中に入ってるのは有名どころです。元の題名とは別に、題名が付けられています。
面白いのは、これらは作者が選んだものではなく、編集の方が選んだという事ですね。
モチーフも指定してもらい、ひとつ書き上げる毎に次の物語を提示してもらったらしいです。
プロの方のやったお題小説、といった風に思えます。

しかも編集さんの選んだ物語は、ことごとく作者の嫌いなものだったようです(笑)
そのあたりもお題小説っぽい感じです。

この作者さんの空気は歯に衣着せぬ言い方をすれば、ちょっと暗いです。
ハッピーエンドでも、完全に明るい雰囲気を感じませんでした。薄曇りなイメージ。
でもバッドエンドでも曇りってイメージ。

この辺感覚でしかもの言ってないので、自分でもどうかと(笑)

じっくり読めば童話の流れを見つけられますけど、最初にさらっと流した時は『童話』とはわかりませんでした。
元童話の題名を隠したら、さっぱりわからなくなるんじゃないかな…。
なので、あんまり童話を期待しないで読んだ方がいいと思います。

お気に入りなのは、みにくいアヒルの子・いばら姫ですね
小学生の頃、友人に負い目を持った青年の話と、約束を待つお婆さんの話。
いばら姫はラストになります。それこそ「落ち着いた」感じで私は終わりました(笑)